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2006.03.29

延命の可能性が低いから無罪なのですか

うまく表現できないのですが、この判決からは人間としての思いやりが感じられません。

「延命の可能性低い」医師に無罪…割りばし死亡事故    

1999年に東京都杉並区の保育園児杉野隼三(しゅんぞう)ちゃん(当時4歳)が綿あめの割りばしをのどに突き刺して死亡した事件で、業務上過失致死罪に問われた元杏林大学付属病院医師・根本英樹被告(37)の判決が28日、東京地裁であった。  

川口政明裁判長は診断ミスがあったことは認めたが、「治療したとしても延命の可能性が低かった」と述べ、無罪(求刑・禁固1年)を言い渡した。  

隼三ちゃんは99年7月10日、割りばしをくわえたまま転倒し、同病院で診察を受けたが、根本被告は傷口に消毒薬を塗るなどしただけで帰宅させた。隼三ちゃんは翌朝、頭蓋(ずがい)内損傷で死亡。その後の解剖で、約7・6センチの割りばし片が小脳に刺さっているのが見つかった。  

判決はまず、耳鼻咽喉(いんこう)科の当直医として、隼三ちゃんを診察した根本被告が割りばしによる頭蓋内損傷を予見できたかについて、意識レベルが低下した容体などから、「頭蓋内に異変があったことを疑うことが可能だった」と述べた。  

さらに母親への問診などを行い頭蓋内損傷の疑いが強まれば、コンピューター断層撮影をするなどして、最終的には割りばしが残っていることに気付くことができたと指摘。根本被告には、これらの診察や検査を行わなかった過失があると認定した。  

しかし、その後の治療で、死亡を回避できたかについては、「脳神経外科医に引き継いだとしても、技術的に治療が困難で、救命はもとより延命可能性も極めて低かった」と判断。過失と死亡の因果関係を否定した。  

一方、判決は、根本被告が隼三ちゃんの死後、診断ミスに気づき、カルテに適切な診断をしていたかのように取り繕う記述を加えたと認定。「患者の病態を慎重に観察する初歩的な作業を怠った」と指摘した。

[ 読売新聞 3月28日22時8分更新 ]

私は、この事故と裁判について、報道された範囲でしか知らないので、ここに書くことは全て想像でしかありません。しかし、「技術的に治療が困難で、救命はもとより延命可能性も極めて低かった」から無罪というのは、果たして、ご両親が裁判を通して訴えたかったことなのでしょうか。

隼三ちゃんが救急車で運ばれて来たとき、医師がいかに患者やその家族の身になって対応したかが問われているのではないでしょうか。懸命の治療を行った結果、不幸にも隼三ちゃんが亡くなってしまったのだとしたら、果たして、ご両親は裁判を起こしたりしたでしょうか。

結果は同じでも、そこに至るプロセスが問われているのだと思うのです。実は、私にも同じような経験があります。急患で時間外に病院へ行ったことがあるのですが、その時の当直医の対応が本当にぞんざいで、やる気が無く、早く私たちを帰したいというのが見え見えの対応をされました。

私の場合には、幸いにも、そのあと問題が起こらなかったから良かったものの、あのいい加減な対応には、今でも怒りがこみ上げてきます。もし裁判になれば無罪なのかも知れませんが、それよりも「医師として、人間としてどうなのか」ということです。

ご両親は、きっと控訴されると思いますので、裁判の行方を見守りたいと思います。

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コメント

医療ネタなのでちょっと絡んでみます。
ERもののテレビドラマとかよくやっていますが、現実はさほどドラマチックでもないし過重労働のなかお医者さんは担ぎ込まれた患者を淡々と治療<処理していくのでしょう。

以前の金融ネタでも触れたけど、やっぱりここでも人としての「徳」の話が出てくるような気がします。
自戒を込めて言いますが、やはり皆「相手を思う気持ち」を持てばもっと穏やかで暮らしやすい世の中になりそうですね。

投稿: くげっこ | 2006.03.29 08:45

お恥ずかしながら「ER」を全話みています。
同時に最近PSE関連で頭に来ているので、報道をいっそう信じなくなってきました。

多分、自分が原告の側だったら完璧に訴えてたと思いますが、上記のようなこともあって、やや医師よりの気持ちになったりもします。


裁判記録を見たわけではないので僕も印象でしか書けませんが、(ネットではないのかな)この地裁の判決でおかしいのは、やはりトピックの表題の通り、「どっちみち助からなかったから無罪」の部分でしょうか。意味がわかりませんね。


僕が問題に思うのは「カルテ書き足し?」の部分です。これが事実なら問題だと思います。
それについては一審では書き足しが認定されたようですが、いろいろあるようです。
http://erjapan.ddo.jp/index.html

また、報道では「過失があると認定した」となっていますが、実際の判決文にもそのような記述になっているのだろうか。


僕も仕事ではミスを連発するけれども医師という仕事は人の命を扱うので、当然ギャラも高い。
怠慢が原因だと罪を問うのは当然だと思うけど、医師の場合はミスの内容によっては罪を問われるのかな。それを判定するのが裁判ということになるのかな。

もの凄い怠慢で過失だったとしても完璧に助かったら罪は軽く、死んだら重い刑、ってのもおかしいと言えばおかしい。けれども、一般的に殺人と殺人未遂では罪の度合いが異なる。結果によって罪が異なるんですね。
ということは逆に過失かどうか微妙な場合、死んだら有罪、助かったら無罪っていうのもおかしいと言われればおかしい。
一審はこの「結果」と過失の因果関係を問題にしたということなのだろうか。

法律は全部のケースに普遍に対応しなければならないのだろうけど、よくわかりませんね。

僕が被害側なら多分最高裁まで戦うだろうけど。。。

投稿: blogoku | 2006.03.30 01:17

♪くげっこさん
医療の現場というのは、色々な意味で厳しいことが多いとは思いますが、最後は患者を思う気持ち、そこに帰結するのだと思います。そして医学だけでなく、私たちも日常生活において、常に「相手を思う気持ち」を忘れず生きていかなければならないと思うのです。

♪blogoku さん
コメントというより、エントリーにした方がよいくらいの投稿に感謝いたします。

マスコミの報道、判決の内容、過失の認定、医療におけるミスと罪の関係など、私の頭では考えても分からないことだらけですが、全てを自分で確かめることが出来ないのもまた現実です。色々な考え方がありますが、一つの考えかたとして「命の重さ」があると思います。

何人も人の命を奪う権利がないように、医師と言えども命を奪う権利はありません。たとえ、それが治療の過程のミスであったとしてもです。厳しい言い方ですが、それほど尊い仕事であるし、医師には、それくらいの気持ちで治療にあたっていただきたいと思うのです。

投稿: 現代音協楽 | 2006.03.31 01:25

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