写真展「枯葉剤の 30 年」に行ってきました
枯葉剤を知っていますか。高校時代、「"母は枯葉剤を浴びた―ダイオキシンの傷あと" (中村 梧郎)」を読み、大変大きなショックを受けました。戦争の悲惨さと枯葉剤の恐ろしさを知りました。あれから 20 年、この本の著者であり、フォトジャーナリストである中村梧郎さんの個展が銀座で開かれていることを知り、早速足を運んできました。
ベトナム戦争:枯れ葉剤の恐怖、写真で 中村さん、銀座で個展−−23日まで /東京
◇さいたまの中村さん、べトナムの被害伝え
ベトナム戦争(1960〜75年)当時、米軍が散布した枯れ葉剤の被害を30年以上にわたって撮影してきたフォトジャーナリスト、中村梧郎さん(64)=さいたま市南区太田窪=の写真展「枯葉剤の30年」が中央区銀座5の銀座ニコンサロンで開かれている。同展は30日のベトナム戦争終結30年を記念して企画された。枯れ葉剤でジャングルは消え、その影響と考えられる後遺症に苦しんできた住民の姿を中村さんのカメラは伝えている。
展示されているのはベトナム南部や中部を中心に、74年から一昨年までに撮影されたものの中から、69点をえりすぐったモノクロ作品。
中村さんが被害を追うきっかけは、ベトナム戦争直後にベトナム最南端のカマウ岬を訪ねたとき。消えたジャングルを目の当たりにし、枯れ葉剤の影響とみられる地域住民の女性の間から流産・死産が相次ぎ、先天異常の子供たちを目撃したことからだったという。
「爆弾でも核兵器でもないが、猛毒ダイオキシンを含んだ枯れ葉剤の実体は化学兵器。カマウで見た光景がのめりこむきっかけでした」と中村さん。
写真はカマウ岬の枯れたマングローブ林の前に立つ少年の衝撃的な作品をはじめ、30回も足を運んでベトナム全土を回って撮影した力作ぞろい。
中村さんは「ベトナム戦争は枯れ葉剤被害のいわば“人体実験”場でした。このダイオキシン被害の実態を今後も追いかけていきたい。ダイオキシンは日本でも深刻な問題。ベトナムの枯れ葉剤問題は日本の問題でもある」と話している。 同展は23日まで。無料。問い合わせは銀座ニコンサロン(03・3248・3783)。【沢田猛】
[ 毎日新聞 2005年4月20日 ]
ベトナム戦争が終わって 30 年、枯葉剤によって砂漠化してしまったマングローブの林は、再生するのに一世紀以上かかるそうです。30 年が経ち、自然環境中のダイオキシンが無くなっても、人間の体内には残されたままだそうです。15 年に渡る戦争の代償は、余りにも大き過ぎます。
米国連邦地裁は 1984 年、ベトナム帰還兵に対して、全米の化学企業に 1 億 8000 万ドルの賠償金の支払いと、救済措置の実行を決定しました。しかし、ベトナムの被害者からの訴えは、2005 年 3 月に却下されました。自国民のみを救済し、より大きな苦しみを受けたベトナムの人々は「救済しない」と決めたのです。ベトナムで枯葉剤によって汚染された人の数は、100 万人を超えると言われています。
韓国では、31 万人がベトナム戦争に派兵されました。1992 年まで、帰還兵の枯葉剤による被害については、軍事政権下において報道することすら許されなかったそうです。その後、政権が文民政権となり、「枯葉剤後遺症治療に関する法」が制定され、1 万人を超える帰還兵が認定患者となりました。しかし、帰還兵が米化学企業に対して米国連邦地裁に起こした訴えは、ベトナム人に対するものと同様に却下されたのです。
ベトちゃんとドクちゃんを知っていますか。1988 年に分離手術に成功した二人ですが、ベトちゃんは今、健康ではあるが寝たきりの生活だそうです。ドクちゃんはパソコンで病院事務をこなし、社会人としての生活を送っているそうです。これまで、彼らの幼少時の写真は何度も見ましたが、何度見ても言葉を失ってしまいます。たとえ、私がどんなに言葉を紡いでみても、物言わぬ写真が訴えかけるものにはかなわないでしょう。
大人になったドクちゃんは、「寝たきりの兄・ベトの面倒を僕が一生見てゆくつもり」と語ったそうです。その言葉に、私は涙が止まりませんでした。写真展の会場で、人目をはばからずに泣きました。しばらくの間、その言葉と写真の前から動くことが出来ませんでした。
世界中の争っている人々に、二人の写真を見てもらいたいと思うのです。人間がいかに愚かであるか、取り返しのつかないことしてきたのかを知って欲しい。インターネットで即時にニュースが伝わる時代ですが、この写真展には、是非足を運んでいただきたいです。思わず目をそむけたくなるような写真もありますが、それこそが、この地球上で起っている現実なのです。
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コメント
破壊してしまった物を再建すると言うのは、
何にしても大変な事です。
人間・自然・こころ
地球人は、忘れてはいけない事が
沢山あります。
学ばねばいけないことが
沢山あります。
今日も、サリドマイドの事を
TVで流していました。
どちらの言い分も分かるのです。
どちらも正義で、悪なのです。
どうしたものでしょう…
投稿: mama | 2005.04.21 09:59
私も今日行ってきました。
深く感じたのは湾岸戦争やイラク戦争でも枯葉剤と同じように強力な兵器として使用されている劣化ウラン弾の存在。
なぜ同じことが繰り返されるのでしょうか?
苦しむのは戦争の勝ち負けに関わらず市民なのに。
森住卓HP
http://www.morizumi-pj.com/
投稿: kayo | 2005.04.21 18:49
コメントありがとうございました。
実は私は劣化ウラン廃絶キャンペーンのスタッフをしております。Agent Orangeの問題もDUの問題も根っこの部分は一緒だと思っています。
大国のエゴに泣かされる人がいなくなる日が早く来るといいですね。
投稿: Kuma-Watching | 2005.04.22 01:21
♪ mama さん
物事には、見方によって複数の真実があると言います。
どちらも正義で、どちらも悪ですか。難しいことですね。
しかし、戦争にだけはどうしても正義を認めることは出来ません。
人間として、地球人として、誰もがそう思っていればいいのですが。
♪ kayo さん
はじめまして。
私も劣化ウラン弾のことをニュース報道で知り、気になっていました。
また 5 年後、10 年後に同様の悲劇が繰り返されてしまうのでしょうか。
そうだとすれば、人間の何と愚かなことでしょうか。
悲しくなるばかりです。
♪ Kuma-Watching さん
こちらこそ、コメントありがとうございました。
> 大国のエゴに泣かされる人がいなくなる日が早く来るといいですね。
本当に、そんな日が早く来ることを願うばかりです。
市民一人一人の力は微力ですが、小さな力が集まって、国をも動かす
大きな力になればいいですね。私も微力ではありますが、自分に出来る
ことから努力していきたいと思っています。
投稿: 現代音協楽 | 2005.04.22 02:22
トラックバックありがとうございました。
銀座でベトナム戦争に関する個展が開かれているのですね。知りませんでした。
まだまだ、ベトナム戦争すら真の終結を迎えていない中、劣化ウラン弾を使用した「核戦争」が起きている現状、そしてその危険性すら知らされていなかった事実を考えると、第二次世界大戦が終結以後の60年間、我々人類は全く進歩していないと言われても仕方がないと思います。
我々人類が過去の過ちを犯さず、前を向いて歩いていけるよう、真実に向き合っていきたいと思っています。
投稿: hello! | 2005.05.19 21:44
♪ hello! さん
はじめまして。
写真展のかわりという訳にはいきませんが、中村梧郎さんの本
「母は枯葉剤を浴びた」を読まれたことはありますか?
もしまだでしたら、是非、一読をおすすめいたします。
劣化ウラン弾については、何年か後にベトナム戦争と同じような
悲劇が繰り返されるのかと思うと、言葉がありません。
過去の過ちから人間の愚かさを学び、二度と同じ過ちを犯さない、
いつになったらそんな日が来るのでしょうか。
投稿: 現代音協楽 | 2005.05.23 00:28
東京・ちひろ美術館〔http://www.chihiro.jp/top.html〕
の講演会が今月28日に開催されます。ご存じでしょうか?私は友人を誘い参加する予定です。
中村梧郎さんの本「母は枯葉剤を浴びた」を、ニコンサロンの個展にて知り私も拝見しました。
戦争を、同じ過ちを二度と、二度と起こして欲しくない。私も同じ思いです。けれど、私達の国が戦争の出来る国への道に益々加速し進んでいる。最近ますますそれを実感します。
私たちの子どもの世代にもずっと『平和』を残せるように、やれるだけのことはやりたいと思います。
投稿: Chihiro | 2005.05.27 18:52
♪ Chihiro さん
はじめまして。
28 日の講演会は知っていたのですが、用事があって参加できませんでした。
参加された感想など、Chihiro さんのブログに寄せていただければ幸いです。
「母は枯葉剤を浴びた」は、本当に衝撃的な内容ですね。どんな理由が
あっても、戦争を肯定することは、私には出来ません。戦争 = 人殺しである
ことを、多くの人に知ってもらいたい。一人一人の力は本当に小さいですが、
何もしなければ始まりません。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 現代音協楽 | 2005.05.30 11:00