ライブドアが目指すメディアの姿とは
連日、ライブドアのニッポン放送株買収問題が報道されていますが、どれも「どちらが何%の株式を保持するのか云々」といった内容の報道ばかりです。株や M & A は専門家にお任せするとして、私が知りたいのは、ライブドアの社長である堀江貴文氏が、果たして、どのようなメディアを目指しているのかということです。
その答えのヒントが、江川紹子さんのホームページに掲載された、堀江氏のインタビュー記事にありました。堀江氏の目指すメディアの姿とは、
- 日本では、報道と言えば、まだまだ新聞やテレビ、ラジオが信頼されている。
- いずれは、報道もインターネットへ移行していくが、日本はスピードが遅い。
- まずは信頼されているメディアを持つことで、シナジーを図りライブドアの価値を高める。
ここまでは、「既存メディアとインターネットの融合」という言葉から、想像に難くない内容です。しかし、既存メディアの行き着く先として堀江氏は、
- 既存メディアはインターネットと融合し、最後は吸収されて死んでいく。
と断言しています。「死んでいく」、なるほど、既存メディアが正面切って堀江氏の目指すジャーナリズムを報道しない(したくない)理由が分かるような気がします。自分自身を否定する報道をしなければならないのですから、既得権を持っている人々が、このメッセージを伝えるのは難しいでしょう。江川さんのインタービューが昨年の 12 月であることから、ラジオではなく活字メディア(新聞)に対してのやり取りが中心となっているのですが、ここにも興味深い発言があります。
- 新聞を発行する場合、掲載する記事は、インターネット上のニュースサイトでの読者による人気ランキングによってのみ決め、新聞社や記者の判断は一切必要としない。
- 新聞の記事は人気ランキングで自動的に決定されるので、少数意見や、ともすれば埋もれてしまう小さなニュースなどは掲載されないが、情報とはそういうものだし、読者の感心が低い「ゴミ記事」を載せても仕方がない。そもそも、流される情報の内容には興味は無い。
- 「報道の使命」とか「報道に携わる者の志」などは「思い上がり」であり「自意識過剰」である。
- 既存の新聞は、見出しや記事の大小で「情報操作」や「価値観の押しつけ」をしている。
既存メディアによる情報操作や価値観の押しつけは、私も少なからず感じています。報道されない出来事や、意図的に隠された真実も沢山あるのだと思います。インターネットのランキングで掲載記事を決めるというのは、非常に割り切った考え方で、誰にとっても分かりやすい。そういう編集方針(編集しないとも言えますが)の新聞があっても良いと思います。ただ、少数意見や、人気は無いけれど記者が伝えたいものを、おしなべて「ゴミ記事」だと言い切ってしまう潔さを、私は持ち合わせていません。江川さんも、その点については、「ジャーナリストの良心を否定せずに、志が広がるのを期待したい」という意見を述べておられます。
一方で、堀江氏の「良心」や「志」などという数値化できないものには興味がない、という主張も理解できるのです。新聞はインターネットと違い、紙という限られたスペースを利用する訳ですから、堀江氏の合理的な編集方針を広く周知させ、既存の新聞と差別化を図るというのは、一つの戦略としてありだと思います。ただ、私がその新聞を購読するかと言えば、それは No です。つまり、インターネットが日常生活に入り込んでいる世代にとっては、記事は全て「インターネットで読めばいい」という、考えてみれば至極当たり前の理由に行き着くのです。つまり、どちらの編集方針を選んでも、新聞というメディアが「死んでいく」ことに、代わりはないと言えるのかも知れません。
では、既存メディアが生き残る道は無いのでしょうか。新聞とインターネットを比較すれば、速報性や記事の量、更新のし易さなどでは、新聞がインターネットにかなわないのは明白です。ありきたりな意見になりますが、やはり差別化をしない限りは、新聞の生き残る道は無いでしょう。同じものであれば、便利なものが生き残るのは世の常です。速報性も記事の量も捨て、インターネットには無いものを追求していく。そうすると、行き着く先は、限りなく書物に近づいていくのではないでしょうか。インターネットがどれだけ発展しようとも、書物が無くなることはありません。もしかしたら、数年後には日刊の新聞は消え、週刊や隔週刊が当たり前になっているかも知れません。
最後に、政治家の先生方が、「金さえあれば、何をしても良いという訳ではない」などと発言しておられますが、金に物言わせる政治を行ってきた人たち言われても、言葉が虚しいだけです。一億円の小切手を渡されたのか渡されないのかも分からない人たちに言われても、全く説得力がありません。40 年間の永きにわたって、有価証券報告書に虚偽の記載をし続けた人物の逮捕について、「スポーツに多大な貢献をされ、文部科学行政にも支援してもらったので逮捕は残念」などというコメントをしてしまう政治家の感覚には、あきれるばかりです。
江川さんの記事で初めて知ったのですが、読売新聞はライブドアにニュースの情報を配信していないそうですね。堀江氏の言う通り、よくそういう「負の」モチベーションが湧くなと、私も思います。そういうことをするから、巨人ファンが離れ、読売新聞の購読者が減り、巨人戦の視聴率が落ちていくのだと思います。新聞やテレビで情報操作をして、一部の人たちだけがうまい汁を吸っているのではないかと、みんな薄々と感じ始めているのでしょう。それを気付かせてくれるきっかけとしてだけでも、ホリエモンの登場は意義があったと思うのです。
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